舞

天津神社春大祭 天津神社舞楽(稚児の舞)

  天津神社は「天津彦々火瓊々杵尊(あまつひこひこににぎのみこと)」「天児屋根命(あめのこやねのみこと)」「太玉命(ふとだまのみこと)」の三柱を祭神とし、 奴奈川姫(ぬながわひめ)と大国主命(おおくにぬしのみこと)を祭神とする奴奈川神社と並んで祀られています。両社ともこの地方の古社で、かつて境内に所在した神宮寺と共に、 幕府から寄進された100石を支配して、神仏習合の祭りが行われていたと想像されます。
 
  天津神社に古くから伝わる舞楽は、稚児による舞が多いことから通称「稚児の舞」といいます。 毎年4月10日と11日に行われる春大祭「天津神社春大祭(通称:糸魚川けんか祭り)」で奉納されます。10日には新衣装、11日は旧衣装で舞が舞われます。

  この舞楽の歴史は古く、300年以上続いているとされています。神楽や田楽、風流踊とも趣が異なることから、能や風流が出現する前に創造された日本の舞と考えられています。
  古い形式をよく残し、大阪の四天王寺の舞楽の流れを汲むものとされながら郷土色が織り込まれ、「能抜頭(のうばとう)」や「華籠(けこ)」などの舞は天津神社だけに伝わる演目です。 奉納舞楽の最後に舞われる「陵王(りょうおう)の舞」は12演目の中でも最も注目を集める舞です。この舞は中国の武将「蘭陵王」が敵を勇壮に打ち破る様を表したものといわれています。
 
  この天津神社舞楽は、昭和55年1月28日に能生白山神社の舞楽と共に国の重要無形民俗文化財に指定されています。
 
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演目

  • 振鉾
    1:振鉾(稚児二人)
    12舞楽の初めに奉納される演目です。緑と橙の衣装を纏い、天冠とかぶり鉾を持った童が同時に舞います。
  • 安摩
    2:安摩(稚児一人)
    南方伝来の林邑楽とされ、面や帽子、装束も異国風です。4∼6歳の稚児が舞います。
  • 鶏冠
    3:鶏冠(稚児四人)
    鶏冠をかぶり、胡蝶を背負い、菊の花を持って舞います。花に遊ぶ蝶のように平和で美しい舞です。

  • 抜頭
    4:抜頭(大人一人)
    南方伝来の林邑楽の舞一つと云われています。父の仇の猛獣を探し求め、格闘の末に猛獣を討ち取った子が喜び勇み山を下る様を表現しています。
  • 破魔弓
    5:破魔弓(稚児四人)
    頭には巻縷(けいえい)に老懸をかけた冠をつけ、手には弓手をつけ、太刀を肩から斜めに掛け、弓と矢を持って悪魔退治をする様を表した舞です。
  • 児納蘇利
    6:児納蘇利(稚児二人)
    納曾利舞(二匹の龍が戯れる様を表したもの)です。面の表情は童児らしいやさしさがあり、丸型の面帽子もおもしろく、振袖姿も優美な舞です。

  • 能抜頭
    7:能抜頭(大人一人)
    天津神社独特の舞で、腹を膨らませ、能楽の翁の面をつけます。尖がり帽子と白の小袖に巴紋をつけているところなど、清々しい装束です。
  • 華籠
    8:華籠(稚児四人)
    天津神社独特の舞の一つで、美しい装束を着た稚児が籠に盛った花を撒きながら舞います。
  • 大納蘇利
    9:大納蘇利(大人二人)
    朝鮮伝来の高麗楽の舞の一つとされ、双龍舞ともいわれます。恐ろしい面をつけ、二匹の龍が楽しげに跳ねる様を表しています。

  • 太平楽
    10:太平楽(稚児四人)
    優美で華麗な武人の装束で舞い、その名の通り「乱世を治め、正しい道に直す」という意味を表すめでたい舞です。鉾・太刀を振って、豪壮雄大に舞います。
  • 久宝楽
    11:久宝楽(稚児二人)
    太平楽と同じ装束を纏い、太刀と楯を持って舞います。南方伝来の林邑楽の舞の一つで、平和で穏やかな世であるよう祈る舞です。

  • 陵王
  • 12:陵王(大人一人)

    昔、中国の蘭陵王が恐ろしい面をつけて陣頭に立ち、敵を勇壮に打ち破った様を象った舞です。 赤地金襴の面帽子に籠頭、吊顎の面をつけ、豪壮な装束に緋房のついた細い金色の□を持ち、落日に舞います。